
鵜崎庚一先生 との最後のアナリーゼセミナー
大切な師匠、時には父親のような存在で多大な影響を私に与えてくださった作曲家・鵜崎庚一先生がご闘病の末に永眠なさいました。
6月8日夜 享年89歳でございました。
110回の東京でのアナリーゼセミナーを終えて

先月5月に早稲田でのアナリーゼセミナーでご一緒したのが最期になるなんて・・・
2025年度はバッハ平均律を新たに取り上げるとのことで、第1回目は1番がお題でした。
そして、東京でのアナリーゼセミナーが始まってから通算110回目でした。
1という数字が重なり、何かスタートラインとして旅立たれたように感じさせられます。バッハを最後に選ばれたのも偶然ではない気がします。
途中、先生がバッハ=グノーのアベ・マリアを弾き歌い、近くでそれを見ていた私は、「あ〜先生はもう天上にいらっしゃるのだ」という錯覚になりました。天からの安らぎの音楽でした。
天に導かれているのか少し虚な感じで弾いてらっしゃたのが印象的でした。
亡くなられる晩、ふと、その時の光景と音楽が脳裏に浮かんだのです。急に心配になり、お電話を差し上げようとした矢先の訃報でした。
アナリーゼを全国へ

日本に「アナリーゼ」という言葉を初めて広め、使命感もって全国でアナリーゼのご指導、普及をされ、また国立音楽大学、武蔵野音大の名誉教授であられた鵜崎庚一先生。
大阪や福岡、長野、東京などで講座に出向いておられました。楽器店からのご要望も多く、大好評だったようです。あのような細やかな分析、独特のアナリーゼの教本、そしてアナリーゼした上で演奏に生かす大切さをユーモアをもってわかりやすく教えてくださる方は他におられないと思っております。
きっと、鵜崎先生のセミナーに参加された方は、皆さんそうだと思うのです。

父親のような大きな懐で私を叱咤激励してくださり、100回以上、アナリーゼセミナーのピアニストとして信頼をおいて御用命してくださったこと、感謝しかありません。
長野にも25年近くピアニストとしてご一緒させていただきました。
先生に出逢わなかったら今の私はありません。
人生においての大切なお言葉も
たくさん授けてくださいました。
一言では言い尽くせない思い出と感謝。
ありがとうございます。
どうか安らかにお眠りください。
天国でもピアノを弾いて、作曲を続けてくださいね。そして、ショパンやドビュッシーやバッハに会って色々な音楽話をしてくださいね。
講座参加者の方 鵜崎庚一先生 ご関係者様へ
皆様 突然の訃報に驚いていることと思います。
2025年度の第1回のセミナーが始まったばかりでした。7月のセミナーに向けてご準備をされていたことと思います。
御葬儀の際に学研の担当の方にお会いして伺ったところ、ショパンのプレリュード集が完成する予定で、ちょうと校正でやりとりをしていたそうです。最期まで、私たちにアナリーゼの手引きをお伝えするという意欲がおありだったんだなあと。
ご自分の命を削っても伝えたいこと。
まだまだやらないとならないことがある・・
それを私たちは引き継いで、伝えていかないとならないと感じています。
アナリーゼ本は今後出版されるそうです。
先生の古くからのお弟子さんや、これからセミナーに参加する予定だった方、また全国でのセミナーの関係者様、どんな方でも構いません。伝えられなかった想い、感謝の言葉などおありだと思います。
藤波結花ホームページ内に「鵜崎先生を偲ぶページ」を作成いたしますので、「お伝えしたいお言葉」を掲載させていただこうと考えています。
どうぞ、こちらからお寄せくださいませ。掲載不可の方でも何かありましたらお気持ちお寄せくださいませ。