特に、「ダンテを読んで」は、F.リストがダンテの「神曲」を読んで作曲したもので、藤波さんのアイデアで、ピアノの演奏の合間に「神曲」のテキストの一部を役者さんに朗読してもらい進めるというものでした。曲の内容がよく理解できるとともに、ピアノと朗読が一体となり、中世のイメージがスポットライトがあたったように浮かび上がり、かつてオックスフォードの中世の牢獄のような寮に一時宿泊した時のことなどをふと思い出したりしました。藤波さんの衣装も中世ヨーロッパを彷彿とさせるシックなもので、曲のイメージにピッタリでした。
なお、今回のホールは多目的ホールで、音響に若干の不安がありましたが、藤波さんの立ち合いのもとでの調律と、リハの演奏によりピアノが蘇り、素晴らしい演奏を聞かせていただくことができました。改めて調律の大切さを実感しました。 (M.Y) 

♪こちらは主催者側からのご感想です。

 藤波さんのサロンでの演奏とトークもすてきですが、ホールでの演奏は、演奏者の真剣さと聴衆の集中力が増し、快い緊張感を感じました。特にリストは、朗読とピアノ演奏の一体感が感じられ、一種独特の音響空間を構成していたように思います。前日からの長時間の細心の準備が40分の演奏に凝縮されたように思います。1回の演奏だけではもったいないので、シリーズものとして、また公演できる機会があればよいですね。楽曲説明も、内容、時間ともバランスがよかったと思います。   (主催者)