このお寺の雰囲気でしか味わえない音の風景がある…と思い、急遽このコンサートで演奏する2つの曲に新たな風を吹き入れてみました。当日ふと思い立ったのですが、結果、とても好評でした。
それはというと…
長徳寺七夕コンサート で奏でる「沈める寺」
①1つはドビュッシー作曲の前奏曲集1巻の「沈める寺」においてです。
「寺」と訳されてますがヨーロッパでは「教会」にあたります。
ジャポニズムが広まっていた時代につくられているのもあり、私が想像するに、日本の鐘も念頭にいれてたのではないかと聞こえる箇所もあります。
と、いうことで、渋谷 真之住職には、本堂の鐘でご一緒に演奏して頂いたのです。
静寂の中からゴーン という壮大な物語を匂わすようなお寺の鐘の響き。
そしてドビュッシーがピアノで表現した海から響く教会の鐘の音。
まさに和洋の鐘の融合。
ありがとうございました。
双方の荘厳な響きが引き立ち、神秘の世界に引き込まれるようでした。今までにない「沈める寺」を演奏できて、これからこの曲を弾くときに違った思いで向き合えそうです。
風鈴師誕生!?世界初の 風鈴とピアノのコラボ
そして二つ目の新たな試みですが…
これもまた、当日リハーサルに急遽思いついたことです。
高音がでるお寺の鳴り物をお借りできないかと住職さんにお尋ねしたら、この「大籠のたたら風鈴」をお持ちくださいました。
曲に合わせて「風鈴」を即興で奏でることを佐藤誠悦さんに快くご協力していただきました。
400年ほど前、この大籠という地で盛んであった「たたら製鉄」。政府からの弾圧で居場所がなくなったキリシタンたちがこの地に集まり、 政府(伊達藩)の庇護をうけて働いていたそうです。その歴史を今に伝えようという運動により限定で「たたら風鈴」が作られました。
長徳寺が2つ寄贈されて保管していて、その一つがこの佐藤誠悦さんが奏でた風鈴なのです。
「七夕さまピアノソロバージョン」の共演です。
まさに大籠の400年の歴史を紡いだ音色となりました。
優しく、懐かしさ哀愁を感じさせる風鈴の音。日本の伝統の音がピアノの流れるようなサウンドに溶け合って一つとなり、またその会場にお越しの皆様による想いも重なり合うようなせつなさ。
ほんとに細胞の隅々まで染み渡るようでイメージ以上の音色でした。揺らぎが最高です。
涙がでたという方もいらして、なんとも言えない不思議な空間となりました。
きっとこれは、佐藤さんの心が波動となって鈴に伝わっているのでしょう。
七夕の日に初の風鈴とのコラボとなったのですが、よく考えたら、日本初、世界初なのでは!?
日本の伝統音は祈りのサウンド
もともと平安時代、お寺にある風鈴は魔除けの意味があったそう。魔を祓い避けて、世の幸せ、人々の暮らしの安寧をお祈りするという意味もあったのでしょう。そして、鐘の音はお寺のシンボルでもあります。
どちらの音も日本が誇る音色。
私も演奏しながら心のじーんと染み入りました。
また、ピアノの音色がこの御本尊様から引き出されているかのようにも感じて演奏しておりました。
お寺ならでは醸し出す世界観があり、つくづく音楽は演奏者が表現するということだけではなく、会場やお客様によってエネルギーの放たれ方が違うなあと感じました。
以前も書きましたが、このイベントは三社祭の一環としての記念講演・演奏会です。 お寺始まって以来の約100名のお客様にお立ち寄り頂いたとのことで、この場に立ち会えましたこと幸せです。ありがとうございます。
ご準備、運営された長徳寺様、ボランティアスタッフの皆さまのたくさんの支えあってこそです。
心の美しさ、命の尊さを感じました。
岩手県一関市 長徳寺七夕コンサート のレポート1はこちらからご覧ください。
長徳寺 三社祭 特別記念講演・演奏会
2024年7月7日(日)13時〜
第3部 ピアノコンサート
〜七夕に捧げるロマンチックな夕べ〜
ピアノ 藤波結花
== プログラム曲==
・ジブリ映画「千と千尋の神隠し」より
「あの夏へ」
・浜辺の歌
・子犬のワルツ ショパン
・愛の夢 リスト
・沈める寺 ドビュッシー (鐘と共に)
・花火 ドビュッシー
==後半==
・星空のピアニスト
・七夕さま (風鈴と共に)
星に願いを
カッチーニのアベ・マリア
彼方の光
NHK 特別ドラマ「坂の上の雲」より
「スタンド・アローン」
・アンコール
主よ 人の望みと喜びよ(バッハ)
◆主催
芭蕉の句碑保存会
祇園牛頭天王保存協力会
長徳寺蘇民祭保存協力会
◆協力
藤波結花ミュージック・プロダクション
(株)山形屋商店
稲刈りカップ実行委員会