東日本大震災から15年の節目 祈りを込めてピアノに向かうピアニスト藤波結花。鎮魂と希望の旋律を紡ぐ静かなひととき。

2026年3月11日。東日本大震災 から15年目の朝を迎えようとしています。

この節目を前に、改めて私自身の活動の原点を見つめ直しています。私の被災地支援の歩みは、一人の男性との出会いから始まりました。

元気仙沼消防署指揮隊長であり、現在は語り部として活動されている佐藤誠悦さんです。

佐藤誠悦氏との出会い、そして「覚悟」

佐藤さんは、震災当時消防署の指揮隊長として最前線で救助活動にあたる中、最愛の奥様を津波で亡くされました。「人を助けるべき立場にありながら、妻を守れなかった」という、想像を絶する自責の念。

佐藤さんが最近、講話回数800回に到達されたというニュースを目にしました。大病を患いながらも、「自分と同じ過ちが繰り返されてはならない」と語り続けるその姿。そこにあるのは、言葉では言い表せないほどの深い「覚悟」です。

こちらが そのニュースです。私のことも少し触れています。https://news.yahoo.co.jp/pickup/6572251

ピアニストとして向き合ってきた「癒えない悲しみ」

初めて気仙沼の小泉海岸に立ち、佐藤さんと対話を重ねたあの日から、私の音楽に向き合う姿勢は大きく変わりました。

景色が変わり、15年という月日が流れても、心の奥底にある「癒えない悲しみ」の形は変わりません。むしろ、静かに深まり続けているのかもしれません。

「深い悲しみの淵にいる方の心に、音楽はどのように『安らぎ』と『鎮魂』を届けられるのか。」

この問いは、私にとっての「音の処方箋(Medical Music®)」の真髄となりました。ただ美しい音を奏でるのではなく、佐藤さんの「命の言葉」を旋律で包み込み、言葉の届かない領域に音という振動でそっと触れること。

それこそが、私にできる唯一の被災地での音での寄り添いであると感じでいます

3月18日、3回目となる「追悼特別コンサート」を開催します

この15年目の祈りを込めて、来る3月18日に3回目となる「追悼特別コンサート」を開催いたします。

  • 日時: 2026年3月18日(水) 13:00開演
  • 会場: 気仙沼 気仙沼はまなすホール
  • 出演: 氏家和歌子(ソプラノ)、藤波結花(ピアノ)

今回は、佐藤誠悦さんのこれまでの歩みと、私たちのこれまでの対話を一つの形にし、地域の皆様とともに鎮魂の祈りを捧げます。

会場となる「はまなすホール」は、3年前に初めて被災地にて私が企画した東日本大震災追悼コンサートの会場です。

15年目の3.11に寄せて|静かなる祈り

震災から15年。景色は形を変え、月日が流れても、心の奥底にある「癒えない悲しみ」に寄り添い続けることの大切さは変わりません。

3年前よりこの時期は気仙沼市で皆様とともに過ごして、節目の年となる今年は、遠く離れた東京から、静かにその地を見守る時間を持ちたいと思っています。

大切なご家族を亡くされたご遺族の皆様の想いに寄り添い、亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

2026年3月10日付の岩手日日新聞。東日本大震災から15年を迎え、語り部として活動する元気仙沼消防署指揮隊長・佐藤誠悦氏が「吐き出すことが生きる支え」と語るインタビュー記事。

元・気仙沼消防署指揮隊長として、最前線で指揮を執られた語り部の佐藤誠悦さん。 佐藤さんは、2026年3月10日付岩手日日新聞の一面でこう語られていました。

「気持ちを吐き出すことで自身が癒やされる」

自らの苦労や苦悩を言葉にし、吐き出すことが生きる支えになる……。

その「命の言葉」の深さに触れるたび、私はピアニストとして、その溢れ出す想いを丸ごと受け止めるような旋律を奏でたいと強く願います。

言葉にならない慟哭も、癒えることのない痛みも、音楽という「響き」が優しく包み込むことができたなら。佐藤さんとの対話の中で受け取った「命の言葉」を胸に、私は今日、ピアノの前に座ります。

一音一音に込めるのは、空の彼方へ、
そして今を生きる方々の心へと繋がる、鎮魂と希望の旋律。

想いをつないでいきたいです。
いつまでも、心とともに。

今日という日が、そして明日を生きるすべての方の心が、穏やかな光に包まれますように。